たかんな

俳句会

ご訪問ありがとうございます。
ごゆっくりご覧ください。

今月の主宰の一句


花屑のいのちの湿り掃き寄する

千嘉子


新着・更新情報

今月の巻頭句、 エッセイ・津軽歳時記、主宰の一句、康治の一句、お知らせ、添削の現場より、竹の韻き、現代俳句の四季、翠竹抄鑑賞を更新しました。
(更新日8/4/24)

令和7年鍛錬会を載せました。
俳誌協会編集賞受賞の様子、たかんな新年紙上句会結果のみアップしました。

たかんな俳句会

句会一覧

八戸本部句会 第一火曜日 13時
東京句会 随時
横浜平戸句会 月一回
山脈句会 月一回吟行
堅香子句会 第二火曜日
下長句会 第一水曜日
東雲句会  第二月曜日
天聖寺句会 第二水曜日
竹あかり俳句会 第二木曜日
三沢句会 第三火曜日
シーガル句会 第一月曜日
泉句会 第三火曜日
紬句会 第三水曜日
竹の風句会 通信句会 月一回
さざんか句会 随時 月一回

参加申し込みはたかんな俳句会

0178-24-3457まで

 


はちえきキャンバス


知新句会 第一木曜日

初めての俳句 第三木曜日

チャレンジ俳句第一,三金曜

俳句入門教室 第一金曜

詳細ははちえきキャンバス
八戸市十八日町46

0178-46-3025まで



 はちえきキャンバス 

巻頭作家のページ 

小笠原イク子

略歴 
 平成二一年 三沢句会入会
 平成二四年 「たかんな」入会
 平成二十六年 「たかんな」同人
 
昨年十月より「ZOOM句会」に参加している。パソコン(正しくはオフィスコンピューター)に触るようになって四十余年、こんな時代が来るとは思ってもいなかった。操作が解らず、お若い句友に助けてもらい、迷惑をかけながらの参加である。
 巻頭の句は、その句会に投句したもので、句会当日はどうしても接続することが出来ず出席を断念。後日、主宰に特選で取って頂いたことを知り大変嬉しかった。
 これからもよろしくお願いします。
 巻頭ありがとうございました。

 

鷺の脛捕へて冬の川静か 

小笠原イク子 

 玲瓏な空気の中、一本足で川にじっと佇む鷺の姿が浮かぶ。好物の小魚を忍耐強く待っている様子に、作者は川が鷺を捕らえたと詠んだ。美しい鷺を川の景色に置きたかったのか、または、ただの戯れ心なのか…。逆転の発想が生んだ一句に余情と川の矜持が窺われる。(吉田千嘉子)
 








 

最新情報

たかんなzoom句会開催しております。
日程は月の後半に次月の日程を発表します。
普段とは違うスマホやパソコンがあれば家からでも車からでも会員であれば参加できます。

主宰が講話と提出句の選と添削を行います。

問い合わせは 

世話人の星私虎亮さん、
吉田主宰まで 










各地俳句大会


令和8年青森県春季俳句大会
5月31日 (日)リンクステーション
「辛夷」「寄居虫」「春季雑詠」
投句締切4月27日

第54回青森県俳句懇話会
十和田大会
令和8年7月26日(日)午前10時
締切6月25日 「打水」「夏季雑詠」


 

 

小林康治の一句

逢ふもまた別るるも花月夜かな


―句集『叢林』(昭和五九年)よりー
康治の句碑に刻まれた作品である。昭和五九年、調布市深大寺でその除幕式が行われた。 前夜から緊張していたそうである。当日は同じ深大寺の波郷の墓前で礼拝。 「康治!平常心でいろよ」と呼びかけられたような気がし、師の温顔が過ぎったと綴っている。出逢いと別れは人の世の常である。 康治もまた師波郷を始め多くの人たちとの出逢いと別れがあったのだ。切ない想いも悔恨も、熱く酌み交わした昂りもすべてが康治の人生にある。花月夜に回想としての心情をさりげなく詠んでいる。

小泉靜子

「えんぶり」に憧れて


 根本文子(翡翠・芭蕉会議)

 二月十六日私達は谷地快一先生(海紅。東洋大学名誉教授)御夫妻、大学院ゼミで御一緒した村上智子さん(エール)、根本文子(梨花)
の四人で待望の八戸に向かった。村上と根本は、先生が主宰で今年二十周年を迎える句会「芭蕉会議」の幹事でもある。
 この旅は俳誌『たかんな』の吉田千嘉子先生のお誘いによる。谷地先生と千嘉子先生は、実は高校の同窓で、東京の浜離宮庭園での吟行句会
にご一緒した過去もある。
 ホテルに集合した私達は近くのお店で千嘉子先生方々に温かいお迎えを頂き、自己紹介や懇親会の後、明日は六時半に車でお迎えに行きます
と伺い、その早さに緊張する。
 十七日、まだ雪の残る「長者山新羅神社」に登る。夜通しで奉納の順番を競う人々が暖をとった大きな木の根がまだ火を残している。神社
の傍で行列を待つ。やがて笛や太鼓、鉦の音と共に一番の旗が近づき、華やかな烏帽子が踊りながら登って来る。胸がときめく瞬間である。
この踊りを「摺り」というと千嘉子先生が教えて下さる。神前に到着すると、また一段と力強く重い烏帽子を振りかざし、深々とひれ伏して踊
る。八〇〇年の昔から、豊作と大漁を願う人々の祈りの所作に感動する。

田の神を起こすとはかくにぎやかに      海紅

榾は燠に一番札の朳衆                         千嘉子
兄姉を横目に踊るえぶり稚児             多加雄
親方は朳の合間牛の世話                        霜魚
豊作願ふ朳烏帽子や平伏して                 梨花
小さき手の豊年すだれ春隣                 エール

 ゴロゴロ石の急な男坂を下り、三〇余りのグループが踊る「一斉摺り」をみる。この日は学校も休みとのことで、大勢が街路にひしめいて
いる。その出し物も愛らしい子供や若者が中心の祝福芸である。三歳から九十歳までが参加していると聞くが、踊る人と見る人の距離が近く、
町中が一体となって、共に湧き上がり楽しむお祭りである。
幼子が大人や兄弟の踊りを見ながら、身振り手振りで真剣に踊る姿は何とも微笑ましく、みんなが笑顔になる。
 こうした包容力のある、参加型の祭りのあり方が皆に好かれ、震災もコロナも乗り越えて来たにちがいない。

摺るといふやさしき仕草えぶり衆      海紅

長台詞ものともせずに朳稚児              霜魚

お化粧の甘き匂ひのえぶりの子          梨花



令和8年「たかんな」新年紙上俳句大会

結果のみ掲載

 
一句高得点順位

1位     

梯子乗拍手の渦へ身を放ち               

佐藤霜魚

2位     

次の鐘打つ間の余響淑気満つ          

畑内節子 

3位     

塩町の手締めの揃ふ初荷かな          

野村英利

4位       

初日の出太平洋を借り申す          

村田加寿子

5位     

 抱かれし稚児も賀客のひとりなり    

岩本律子

6位      

初鶏の次の声出す身の構へ              

黒田長子

7位       

 床の間の松活け直す七日かな     

春日しげ子

8位       

石鹸の白さまぶしき初湯かな     

川口けい子

9位    

海鳴りやいよいよ猛るどんどの火   

高村龍彦

10位  

「気」のはねに老いの気概や筆始   

小笠原 イク子





二句総合得点順位

一位      佐藤霜魚

一位      畑内節子

三位    中澤玲子

四位     野村英利

五位      川口けい子 



 

現代俳句の四季

 

各誌令和8年3月号より

 吉田千嘉子

あかつきの瀬音はなさず梅ひらく 

井上 康明 

 俳句「作品21句」より

清冽な水音が聞こえてくる心地良い句である。雪解水が加わり水量が増えた川の近くに、梅の木はあるのだろう。この川音を子守唄のようにして梅の木は育ったに違いなく、季節により変わる夜明けの時間や水音の中、早春の暁の瀬音は梅が開くのを促すものだったのだ。「瀬音はなさず」の擬人化が梅を親しいものにしている。

 雪籠る手足みじかく使ひつつ 

南 うみを 

 俳句「作品16句」より

一年の三分の一以上を雪と共に暮らす地方がある。豪雪は人々の行動を大きく制限し不自由な生活を強いる。寒いのであまり口を開けずに済ませようと、津軽地方では「どさ」「ゆさ」(「どこへ行くの?」「湯に行ってくる」)という方言があるほど。また、体温が逃げないようになるべく身体を丸めて行動する。それを「手足短く使ひ」と表出して、俳諧味ある納得の措辞である。

すかんぽや日の沈むまでまだ間あり 

柴田多鶴子 

 俳句「作品12句」より

すかんぽが野に出てくる頃は春もたけなわ、日も随分長くなっている。寒さに身が縮んで滞っていた仕事にも精が出るというもので、多忙な俳人にはすることはいくらでもある。それでもまだ日が沈む様子はない。日が長いと、あとひと働きしよう、といった前向きな気持ちも湧いてくる。すかんぽの軽さが良い味を出している。


雪折の音が枕にくぐもりぬ 

髙瀬 祥子

 俳句界「北斗賞受賞作家競詠」より

雪の重さに耐えかね折れてしまう樹木の枝。名園の木のようにみんなが雪吊りをして貰えるわけはないのだ。枝を伸ばし大きく成長した木の、雪折れの音を聞くのは辛いものがある。寝ている作者の枕に雪折れの音が否応なく入ってきてくぐもる。作者のこころにくぐもるのである。

 

色鳥やけふ食卓はひざの上 

三角 尚子 

 俳句界「注目・期待する俳人」より

秋には美しい鳥たちが渡ってきて、バードウォッチングに最適な日々となる。爽やかな時期に色鳥を探しながら野山のハイキングをするのは楽しい。そんな時は「食卓は膝の上」となる。おにぎりやサンドイッチなど簡単なものも、膝の食卓で色鳥たちを眺めながらであれば、格別なご馳走となる。明るく胸に届く句である。

 冴返るけものの息の残る檻 

雨宮きぬよ 

 俳壇「巻頭作品10句」より

「けものの息の残る檻」に入っていたのは熊だろうか。
熊の生息場所を狭めている人間の罪と、現実として熊の被害に遭っている人たちの悲惨さが問題を大きなものにしている。捕えられた檻にさっきまでいたと思われる「けものの息」に害獣と言われる生きものの生々しさや、うまく付き合うことが簡単ではない現実が窺われる。

 

春禽の枝から枝へ影ばかり 

波戸岡 旭 

 俳壇「俳句と随想12か月」より

春は野鳥の繁殖期であり、囀りが盛んに聞かれる。恋の歌であったり縄張り宣言であったりと、鳥たちは忙しい。鳴声のした方を仰いでも、中々その姿にはお目にかかれないことが多い。枝を移っているようなのだが、姿は確認できず影ばかりを追っていることに気づくのである。


切株といふあたたかきものに座し 

岩岡 中正 

 俳壇「四季巡詠33句」より 

木が切られて残る切株。どれほどの大木であったろうと思わせられる大きなものもある。びっしりと詰まった年輪はその木の歴史であり、人間の世をじっと眺めて来た証左でもある。切株に座した時に感じる安心感はそんなところから来るのかもしれない。「切株といふあたたかきもの」が言い得ている。


ストーブを生徒に寄せて諭しをり 

荒川 英之 

 俳壇「俳壇ワイド作品集」より 

作者は教師なのだろう。寒い部屋で小さなストーブを生徒に寄せる。その所作に生徒に歩み寄る姿勢が見て取れる。良い先生だなあと思う。ストーブを寄せられ身も心も温められた生徒は、素直な気持ちになって自身を語り、また諭される言葉にも耳を傾けることだろう。「ストーブを生徒に寄せる」という行為も言葉もとても尊い。


削られて箪笥戻りぬあたたかし 

今井 聖 

 俳句四季「巻頭句」より

お祖母さんの嫁入り道具であった桐の箪笥を削り、孫の嫁入り道具になったという話がある。今、盛んに言われている再生可能SDGsに叶うもの。もっとも日本人は昔から「もったいない」精神が旺盛である。新品同様になった箪笥はこれから更に家族のための収納に活躍する。本当に良い話、あたたかしである。

 

流星を拾ひに無蓋貨車急ぐ 

守屋 明俊

 俳句四季「今月のハイライト」より

スケールの大きい、ロマンのある句である。「流星が落ちるまでに願いを三度唱えられると叶う」という話はあるが、拾
いにゆくとまではなかなか考えない。拾いに行く手段に無蓋貨車を用意したのもセンスが良い。真っ黒な鉄の塊の、とても
無粋な無害貨車が流星の受け皿とは…確かに相応しく頷ける。


月刊俳句誌たかんな5月号より抜粋

竹の韻きⅠ


          ー竹籟集(三月号)よりー
                        野村 英利


 餡餅がよろしき里の雑煮椀 

難波 政子


    全国的に見ると、雑煮の主流は醤油または白味噌などの塩味系で、餡を使う雑煮は少数派だと聞く。しかし香川県のように、白味噌の出汁にあんこ入りの丸餅入れる雑煮は、県を代表する正月料理になっている地域もある。作者のふる里は餡餅派だと察する。お正月に餡餅雑煮椀を戴きながら故郷を偲ぶ作者の笑顔が浮かぶ。郷土愛の溢れる一句。


          柊の花のこぼるる夕月夜 

岩本 律子


        私は柊そのものは知ってはいたが、つい最近まで柊の花をじっくりと眺めた事は無かった。先日担当している句会でその事を話したところ、会員の一人が翌月の句会に「庭に咲いた」と一枝持参してきてくれた。なんと白い小粒な花に密やかな甘い香りであった。掲句のとおり、作者は晩秋の夕月を背景にした柊の花の風情を見事に詠みあげた。


          数の子の音聞かせくる幼かな 

大原 信子


    一読し、家族でお節料理を囲み、賑やかに楽しそうに食事をしている情景が鮮明に浮かぶ。よく俳句では、子どもや孫俳句は、可愛さが先立ち、類似類想から抜けきれない
ため敬遠される傾向にあるが掲句は違う。お孫さんが生え揃った歯の自慢を、数の子を噛んで聞かせみせているのだ。その事を見事に詠みあげた作者と元気なお孫さんに拍手。



        鯛焼の一句を成して良き気分 

西川 無行


 作者の竹籟六句中四句が「鯛焼」を季語としたもの。鯛焼が好物で作句も得意の分野ではと推測される。鯛焼は明治後期に今川焼から発展。焼き方にも二種類あって、天然物(一丁焼)といって一個ずつ個別の型を使って焼くものと、養殖物(連式焼)といって複数の型を一度に使って焼くものとがあるという。拘りの作者はやはり天然物か?


 小夜時雨あくびの連鎖猫にまで 

村田加寿子


知人の獣医師によると、人間の欠伸は犬には移るが猫に移るという報告はないという。ならば猫が欠伸をするときは、心身ともに落ち着いている証拠で、飼い主に甘え、幸
せホルモンが出ている時だという。作者の猫さんも作者に甘え、毎日幸せな環境に居る事がうかがえる。冬の小雨の寒い夜の、暖かな静かな部屋の様子が浮んでくる佳句。

星に見守られをり露天風呂 

西浄 さえ


温泉好きの日本人には、温泉は単なる入浴施設ではなく、心身を癒やす特別な場所として好まれている。特に、露天風呂は自然との共存や四季の移ろいを感じる場所であり、
禅の思想にも通じ、自分と向き合う空間でもあるという。日々多忙なだけに、今夜は「凍星に見守られ」ながらゆっくりと自然の中に身をゆだねている作者がここにいる。


        真鴨去り公園の池眠りけり 

小川 三胡


真鴨は、温暖な時期はロシアなどで繁殖し、寒くなると日本へ渡り越冬する。小さな我が町にも湖沼が二カ所あり冬は白鳥や真鴨の天国となる。真鴨は雑食性で気性が激しいことから雄は「クァッ、クァッ」。雌は「グァッ、グァッ」と声高に餌を奪い合う。作者が詠んだように、真鴨が去った後の池は眠ったように静かとなる。観察力のある一句。                

     五能線の已むなく止まり冬怒濤 

鎌田 義正


五能線は、秋田県の東能代駅と青森県の川部駅を結ぶ鉄道路線で、日本海に沿って走る景色の美しいローカル線として全国的に人気が高い。しかし、冬は荒れ狂う日本海の風雪や荒波を直接受ける事となり、しばしば運行停止となる。地元の人々に愛され親しまれている鉄道だけに、中七の措辞によって、諦めよりも励ましの優しい心が見える。

                                                 


つきに弾みてをどる母の手よ 

滝沢鷹太郎


作者の実家は十和田市の滝沢地区にあって歴史ある家柄と聞く。それだけに年の暮の餅つきは、近所の人も寄合い、一家総出の賑やかな餅つきであったことが想像される。
 父上は杵、母上は練る。この息の合ったご両親の様子を「弾みてをどる母の手よ」とユーモアたっぷりに詠みながら、臨場感溢れる一句に仕上げている。


        ゆつくりと体の溶ける日向ぼこ 

池上 美海

 
 日向ぼこは、俳句では冬の季語としているが、四季を通じて心身の健康に多くの良い効果が期待できるという。しかし、冬の寒さによって固くなった体に、暖かな日差しは
 何ものにも代え難いものとなる。作者は「体の溶ける」と単純にして意表をつく表現を用いたが、誰もが頷き納得するのは、日向のもたらす包容力と優しさなのであろう。


 竹籟集(5月号)より

たかんなZOOM句会

              について

先日俳句誌、俳句界でのZOOM句会が行われました。
今回の講師は吉田主宰とのことで・・・
ZOOMは出来るかしら?との主宰に佐藤霜魚、星私虎亮のたかんなITチームが完全協力
無事全国の皆さんとZOOM句会を終えることができました。
(写真は当日の様子)
こんなに便利ならと夏雲システムを利用してたかんなZOOM句会をと先日第一回たかんなZOOM句会を開催しております。
スマホがあれば会員であれば誰でも参加できます。

詳細は主宰、星私虎亮までよろしくお願いします。

添削の現場より  吉田千嘉子

   

原句       窓ガラス汚れしバスの春あらし

言葉を置く順番で句の意味が随分変わってきます。掲句は、春嵐でバスの窓が汚れたことを言いたいのだと思いますが、「バスの春あらし」と意味がよく分からなくなっています。言葉の順番を下から持っていくだけで明快な一句となりました。片仮名が多いこの句の場合は「春嵐」と漢字にした方が締まります。

添削句          春嵐汚れしバスの窓ガラス



原句       春の雪に大き鉢植え運び入れ
 
春となったのに雪が降ったために、慌てて大きな鉢を家の中に非難させた、という句意ですね。ただ、春の雪にの「に」が原因となっています。俳句では原因結果を詠むのは感心されません。「春雪や」とするとそれが解消され、句の姿も佳くなりました。

添削句        春雪や大き鉢植え運び入れ

 
原句        山吹の色を抱えて試着室

山吹色の洋服を抱えて試着室に入った、ということですが、山吹色は季語ではなく、「山吹」という植物が季語です。このままでは季語のない俳句になってしまいますので、どこかに本物の山吹を置きましょう。山吹を活けた壺を、試着室の傍に置いたことにしました。

添削句       山吹の壺をかたへに試着室


原句       友禅の暈しの柔く春の色
 
友禅の柔らかなぼかしが春の色だった。淡いピンク色などでしょうか。ただ、「春の色」という季語は何かの色を指すのではありません。歳時記では春の景色や春の日差しと書かれています。ですので、違う季語を配置して、句の世界を広げるようにしましょう。友禅の晴着が引き立つ春宵がどうでしょう。「暈し」も平かなが良いです。

添削句      春宵や友禅のぼかしの柔く


原句      小さき虫頭上飛び交ひ春告げる
 小さな虫に春を感じた作者ですが、改正点がいくつかありそうです。まず「虫」は秋の季語ですので、そうは言わずに「羽あるもの」とします。また、「こうしてこうなった」と説明句になっていますので、語順を替えます。次に、用言が「小さき」、複合動詞の「飛び交ひ」、そして「告げる」と多すぎて煩雑なので、少し整理します。これが➀です。その後更に、「春告ぐる」を「清明」という名詞の季語に替えてすっきりさせたのが➁です。

添削句      ➀春告ぐる羽あるものは空を飛び
添削句      ➁清明や羽あるものは空を飛び


  

翠竹抄鑑賞 

           吉田千嘉子



 ラガーらの蒸気機関のごと走り 

片山静子 

 数あるスポーツの中でも、ラグビーほど勇猛なものはないだろう。力で押すスクラムや烈しいタックル、そして百キロ級の選手がもの凄いスピードでコートを走る様は、まさに作者の言う蒸気機関である。走る一瞬を捉え、ずばりと的を得た比喩に圧倒された。

 残業や膝掛を出しもう一刻 

川口けいこ 

 他の人たちは帰り、一人残業をする羽目になったのだろうか。責任ある仕事をしているとよくあることだろう。暖房は切られ段々と寒くなる部屋に、膝掛を出しもうひと踏ん張り。膝掛がとても良い働きをしている。

風が巻く汽笛の音や養花天 

河村仁美

 桜を養う曇り空のことで桜の頃の少々不安定な天気を養花天、とは季語の命名が巧いと感心する。その天気を「風が巻く」とし、汽笛の音を絡めて効果的である。

 槍掛けの跡ある鴨居春炬燵 

村田充子

元は武家屋敷であった家なのだろう。江戸時代からの住居ということになるが今は春炬燵が置かれ、実際に使われているのだ。槍掛けの跡と春炬燵の対比が面白い。

 一幅を花の絵に替へ春隣 

小笠原イク子 

 そろそろ迎える春に備えて掛け軸を花の絵に替えた作者。季節感を大切に丁寧に暮らしていることが分かる。

 春一番自動ドアへと飛び込みぬ 

藤木和子

春一番の強風に閉口して逃げ込んだ先が自動ドア、という。いかにも今日的で類想がない。

 雪しろへ今日の空あり雲のあり 

髙田栄子 

 雪解け水が川に溢れるように滾っている、いつもの春の光景。それを眼下に空も雲も悠揚とある。
 

泣顔にあやまる鬼や福は内 

箱石直子 

 あまりに真に迫った節分の鬼に、怖くて泣き出した幼児。「あやまる鬼」がなんとも滑稽で俳諧味がある。

 教科書の最後のページ水温む 

嶋えり子 

 卒業式を控えて教科終わりに近づいて行く。その時節を「最後のページ」で表して象徴的。
 
 
ときを知り舞ふ淡雪や朳笛            三浦遼子 
〈えんぶりの笛いきいきと雪降らす〉という村上しゅらの句を思い出す。朳笛には淡雪がよく似合う。

 春泥の靴カラフルに集会所      五十嵐礼子 
春泥を越えてきた長靴がカラフルに集会所に並んでいる微笑ましい光景。佳い季節を迎える心の弾みが伝わる。

 セーターをくぐり抜けたる歪み顔      平野真記子
セーターを着る時の暗闇を抜けた時の顔を「歪み顔」と詠んだ。確かな観察力である。
 
おにごつこの鬼は誰やら薄氷踏む      星私虎亮 
 鬼ごっこに興じているうちに、誰が鬼なのかが分からなくなってしまった。薄氷を踏みながら元気な子どもたち

 
入試終へ子は語らずやカレー煮る 中澤玲子 
 こういう時には根掘り葉ほり聞かずに、好物のいつものカレーが一番。母親らしい心配りが詠まれた。

 入学を待つ制服の金ボタン      及川明子
待つのは勿論制服を着ている本人だが、それを「金ボタン」とした所が楽しい。
 
氏神へ足跡ひとつ初茜      林野 榮 
早暁の初詣。誰のだろうか一つの足跡。

 盃をゆるりと運ぶ春愁      川越 研 
ゆっくりと我が身を宥めるように飲むお酒。

 県境を越えゆくバスよ風花す      中島英雄 
どこの県境だろうか。降る風花に情趣がある

 はやばやと土のあくびか蕗の薹      山田あや女
蕗の薹を「土のあくび」と表出、なるほどと思う。
 
指先のほどが土より名草の芽      小林こはる 
指先ほどでも分かる名草の芽。大切にしているのだ。
 
春浅し頬打つ風のかげんなく      八幡ひで子
春一番の強風はまさに「かげんなく」である。
 
新若布滾りし鍋に抛り込み      對馬のり子 
抛り込んだ時の鮮やかな緑が目に見えるようだ。
 
一瞥の猫の歩ゆるり寒明くる      類家直子
「歩ゆるり」にボス猫のような風情がある。

たかんな鍛錬句会

去る10月1.2日の両日、岩手県遠野市に於いてたかんな鍛錬句会が行われました。


photo by Takao Iwamura
Products by madaisama

俳誌協会編集賞受賞

栄えある編集賞を受賞しました。
これもひとえに皆様方のご協力の賜物です。編集部一同で東京での祝賀会に参加してきました。

 

 「令和7年たかんな鍛錬会特集 」

遠野鍛錬会感想記   1日目

 八 木 仁

 

 令和七年九月二十六日、遠野の「風の丘」に総勢25名が集結して、鍛錬会がスタートした。バスで最初に向かったのは清心尼墓。丘の中腹にひっそりと素朴なお墓が建っていて周りを梅もどきの赤い花が護っていました。

 そしてバスは伝承園へ。曲り屋、おしらさまの部屋等真に遠野物語の世界です。

 その後宿舎の「たかむら水光園」にチェックインして、語り部による民話の昔語りがありました。民話って、どこか哀しげで怪しげで恐ろしげな話ばかりです。 

その後、たかんな総会、たかんな賞&竹笛賞の表彰があり、同人会の総会も無事終了し、

一回目の句会が催されました。一人3句づつ提出の全75句の内、最高得点句は吉田主宰のおしらさまを詠んだ作品でした。 

 さて、その後はお待ちかねの夕食会。ご指名により不肖・私が乾杯の発声。宿舎心尽しの郷土料理を頂いた後は、懇親会として袋回し句会が実施されました。私は初めての経験でしたので、当初面喰い大変でした。兎に角スグ作句して次に回さなければならないので、こんな時に限って頭は真っ白何も浮かばず、

己の非力を思い知らされた次第です。

 そうこうする内、英雄さんから「車が来ました」と告げられ二人で夜のドライブに出掛けました。十数年前彼はオートバイでこの辺を旅したことがあるそうで、その時訪ねた「荒神神社」がとっても良かったので一緒にどうですか?と誘われたのです。ところがこれが大変なドライブでそもそもタクシーの運転手さんが「こんな処に夜来るお客さんは誰も居ませんよ、第一熊は知りませんけど鹿や猪は出てきますからね」という滅多に経験出来ない大冒険だったのです。

 深夜宿舎に戻り、英雄さんと私は、誰も居ない大風呂にゆっくりと浸かったのでした。


令和7年「たかんな」鍛錬会2日目 

赤坂洋子


 鍛錬会の2日目も初日に続き快晴の秋風吹く気持ちの良いお天気になりました。すっかり緊張のとれたメンバーは、朝から水光園の庭園の散策に出かけました。ホテルの庭には藁屋根の曲り家や土蔵があり、その周りには農具などが置かれて、見る者に懐かしさと発見をさせてくれました。
 この日はバスで姥捨の地デンデラ野に向いました。この地では60歳になると老婆はデンデラ野に連れて行かれ、日中は村に降りて働き、夕方には「あがりの家」と言われる藁の家に戻りました。たかんなメンバーはあがりの家の囲炉裏にぐるりと座り、話に花が咲きました。あがりの家はグループホームのようなところでもあり、「悲しい場所だけど、意外と楽しかったのではないか」などと、呑気な話になり笑いの絶えない場となりました。その後、カッパ淵を散策して作句に励み、カッパ捕獲許可証を手にして私達はカッパ釣りに挑戦しま
した。一行はたかむろ水光園に戻り、昼食の後に第二回句会が行われました。句会では一句高得点者が鍛錬会実行委員長の野村英利さん、主宰の秀句には佐藤霜魚さん畑内節子さんの両名が選ばれました。その後私達は道の駅「遠野風の丘」で東京組の皆様と再会を約束して笑顔でお別れをしました。

帰路の車中では、たかんなの皆様の溌剌としたお茶目な会話が飛び交い、皆様が一層好きになりました。



令和七年「たかんな」鍛錬会俳句大会

九月二十六日 一回目

主宰特選句

おしら様の煤くる月日そぞろ寒     三野宮照枝

遠野は秋辻に河童の捜索書                野村英利

佳作

秋灯や目を剥き出してかまど神    髙田美津子
去り難き清心尼墓所萩の花                中村静江
そよ風をいなせば薄金銀に                星私虎亮
手土産は濃竜胆なり束にして            磯沼チヨ
さやけしや遠野の風を頬に受け           川越 研
去り難き清心尼墓地梅もどき        髙田美津子
白風や手斧削りの梁の土間            岩村多加雄
曲り家に吊もの多し秋の午後            野村英利
ふつと湧く風の遠野や秋桜                小泉靜子
つるべ井戸覗けば吾や曼殊沙華        中村静江
おしら堂へ軋む床板昼の虫                髙田栄子
座して聴く風のさやぎも秋の声        畑内節子
稲刈や農夫の姿見えかくれ                赤坂洋子
民話聴き遠野の秋を深めけり               川越 研
天高し茅葺き屋根の伝承園                西浄さえ
奥の間にわらしの気配虫の闇        岩村多加雄
梅もどきの清心尼墓所秋の風               八木 仁
初秋や語りの訛母に似て                    野村英利
秋日濃しかまど神置く伝承園            小泉靜子
遠く来て遠野の丘の薄紅葉                中村静江
清心尼の墓守るごとき秋の蜘蛛        佐藤霜魚
赤とんぼ草一本にとまり合ひ            星私虎亮
清心尼の墓は山負ひ野紺菊                畑内節子

選者特選

西浄さえ特選
身に入むや壁の四面をおしらさま   吉田千嘉子
座して聴く風のさやぎも秋の声          畑内節子

八木 仁特選
秋日濃し南部飛地の黄金波                  畑内節子
去り難き清心尼墓地梅もどき          髙田美津子

南美智子特選
秋哀し昔語りのデンデラ野                 西浄さえ
秋麗の山ふところや清心尼             小野寺和子

三野宮照枝特選
身に入むや壁の四面をおしらさま   吉田千嘉子
ふつと湧く風の遠野や秋桜                   小泉靜子

中島英雄特選
法螺少し語る爺様秋日和                  岩村多加雄
白風や手斧削りの梁の土間              岩村多加雄


一句高得点句

1位5点

身に入むや壁の四面をおしらさま   吉田千嘉子
ふつと湧く風の遠野や秋桜                  小泉靜子

3位4点

遠野は秋辻に河童の捜索書                 野村英利
去り難き清心尼墓地梅もどき         髙田美津子
座して聴く風のさやぎも秋の声         畑内節子


九月二十七日(2回目)

主宰特選句

ゆきあひの空へ蜻蛉やデンデラ野    佐藤霜魚

朝霧や民話の里をひと抱きに            畑内節子

佳作

せせらぎを遊んでをりぬ赤とんぼ   村田加寿子

遠野さやか翠微をなぞる雲の影          中島英雄
河童釣る許可証買うて秋うらら          野村英利
秋涼し買ひ忘れたる「捕獲許可」   三野宮照枝
姥捨ての謂れある野や草紅葉                川越 研
朝霧や遠野三山近く在り                  岩村多加雄
朝露を踏みて登りしデンデラ野         磯沼チヨ
河童渕秋水乱す釣師たち                     黒田長子
朝露や「あがりの家」の自在鉤          髙田栄子
デンデラ野は山に抱かれ秋あかね      赤坂洋子
姥捨ての哀史百年草の花                     野村英利
ゆたかなる水車の里や銀杏の実          小泉靜子
言はれれば河童ゐそうよ水澄めり         川越 研
河童淵喚声もまた秋の声                  岩村多加雄
がまずみの丘に半鐘深き錆                 蛯名文子
爽籟や「あがりの家」に竈跡             佐藤霜魚
ひとりでは来れぬデンデラ野よ秋よ 村田加寿子
生きた音たつる水車や稲架日和       三野宮照枝
爽籟や水ゆるやかに河童淵             小野寺和子
いざ釣らん秋の一日を河童淵      小笠原イク子
早池峰や遠野盆地は秋の中                    川越 研



選者特選

野村英利特選

生きた音たつる水車や稲架日和    三野宮照枝
早池峰や遠野盆地は秋の中                  川越 研

小泉靜子特選

姥捨ての哀史百年草の花                 野村英利

爽籟や「あがりの家」に竈跡         佐藤霜魚


岩村多加雄特選

良き音に働く水車鶏頭花            吉田千嘉子
河童渕秋水乱す釣師たち                黒田長子

黒田長子特選

姥捨ての謂れある野や草紅葉           川越 研
姥捨ての哀史百年草の花                野村英利

佐藤霜魚特選

遠野さやか翠微をなぞる雲の影   中島英雄
がまずみの丘に半鐘深き錆           蛯名文子


一句高得点句

1位5点

姥捨ての哀史百年草の花           野村英利

2位4点

朝霧や民話の里をひと抱きに     畑内節子
良き音に働く水車鶏頭花             吉田千嘉子
朝霧や遠野三山近く在り             岩村多加雄
爽籟や「あがりの家」に竈跡      佐藤霜魚
いざ釣らん秋の一日を河童淵      小笠原イク子
早池峰や遠野盆地は秋の中          川越 研