たかんな鍛錬句会

去る10月1.2日の両日、岩手県金田一温泉、緑風荘及び天台寺に於いて
たかんな鍛錬句会が行われました。


 

 「鍛錬会特集 」

 (101日• 2日) 


三浦哲郎ゆかりの金田一温泉と緑風荘 

(吟行記一日目) 高村龍彦 


 今年の「たかんな鍛錬会」は十月一日、 二日の一泊二日の行程で、金田一温泉で行 われた。
 十三時、八戸駅集合、総勢二十九名でバスに乗り合わせて出発。途中奥田卓司さんのガイドを楽しく聞きながら、車窓に広が る秋晴れの中、青岩橋を渡り岩手県に入る。 馬淵川沿いの馬仙峡の男神岩・女神岩を眺めているうちに目的地、金田一温泉へと到着した。
 座敷わらしを世に紹介した作家、三浦哲郎ゆかりの分教場講堂や、たわわに実ったりんご畑を見学し、十五時宿泊先の緑風荘へ到着。
 緑風荘は、平成21年惜しくも火事により全焼したが、その後見事に再建。館内は昔の雰囲気が感じられる。特に座敷わらしが出るという「槐の間」は間取りなど昔と同じで、過去に戻ったようである。
  早速常居に全員集まり年間表彰に続き、 同人会総会を実施。そしていよいよ一回目の句会が始まった。先ほどの光景を詠んだ佳句がたくさん集まった。吉田主宰には、 全句について講評をいただき、また丁寧な添削指導もしていただいた。 
句会終了後、夕食および懇親会、久しぶりに会った人たちや新しく入会した人たち と親睦を深める。 
各人部屋へ戻った後、また集まり恒例の袋廻し句会が始まる。即吟の力が試されるので、これが一番俳句の力をつけるにはもってこいである。そしてそれは延々と夜半まで続いたのであった。 
さて、肝心の座敷わらしはどうだったのか。翌朝、何人かは夜中に不思議な足音やラップ音を聞いたと話されていた。緑風荘には確かに何かいる。 

天台寺散策と蕎麦処「四季の里」にて 

(吟行記一一日目) 宝美佐子

 
 大会二日目、快晴の朝緑風荘を出発。バスの中は昨夜の不思議な体験談で盛り上がった。寝静まった深夜に廊下を走る足音が聞こえたと千嘉子主宰。私も同じく聞こえた。座敷わらしに出会えたのでいいことが訪れるかな。
車中でガイドの奥田卓司氏の耳に心地好い説明を聞きながら、道沿いの芒に晩秋を感じているうちに天台寺のある八葉山の麓に到着。桂大樹の香りが辺り一面に漂っていた。行基が開山したといわれる古刹。霊気を感じた。天台寺はまだまだ山の上。バス組と徒歩組に分かれた。徒歩の組に入り、途中の参道で目についたのが赤い毛糸で編んだ帽子に赤い前かけをつけたかわいいお地蔵様。その数の多さにびっくり。戦後無惨に伐採された千数百本もの姫杉の霊木の供養として祀られているとのこと、寂聴住職自ら彫られたものもあるそうだ。
いよいよ寂聴さんが説教された天台寺に到着。テレビで観る、人で埋まった景色とは違い、秋の訪れを感じる静かな場所であった。皆、境内で句を捻り、西浄さえさんが突いた鐘の音が山頂に響いた、天まで届けと。
 境内にて記念写真。天台寺を後にし句会場となる蕎麦処「四季の里」 にて昼食、そして句会。
句会場を出ると外は雨。昼までの青空が嘘の様だった。八戸駅西口解散。天候に恵まれ、なかなか体験出来ない吟行句会でした。
マイクロバスを 運転して下さった笹田様、千嘉子主宰をは じめ八戸の実行委員の皆様ありがとうございました。 

多くの皆様に感謝   

大会実行委員長 野村英利


  毎年のことではあるが、「たかんな鍛錬会」は、「たかんな」にとって一年の重要 な行事のひとつと位置づけられています。それだけに、主宰をはじめ、関わる者にとっては、並々ならぬ苦労と努力と時間を要します。
先ずは、年度早々に実行委員会を設置し、 日程、吟行地、宿泊場所等の選定があります。 今年の吟行地は、多くの案の中から、八戸地方と、生活圏、文化圏を同じくし、移動時間の余裕も確保できる、岩手県北の古刹「天台寺」。宿泊場所には、座敷わらしで有名な「緑風荘」。そして八戸の生んだ直木賞作家三浦哲郎のゆかりの地ということもあって、主宰と委員が気持ちをひとつに、準備に取り組むことができました。 ところが、現地の下見や宿泊交渉の段階で決定した、9月23日•24日の開催は諸般の事情で開催不可能。既に5月号で日程を示していただけに、参加を予定してい た皆さんには大変なご迷惑をお掛けいたしました。このような不測のトラブルにあいながらも、当日は天候にもめぐまれ、笑顔々々の二日間となるとともに、鍛錬会を終えてから、多くの皆さんから「いい鍛錬会でしたよ」とのお言葉を頂戴しましたことは、実行委員にとって何よりの宝となりました。 そして準備段階から、多くの皆様に多大 なご支援とご協力を賜りましたこと、心から感謝申しあげますとともに、来年の再会を楽しみにしていたいと思います。