津軽歳時記

 草野力丸

 

 【ウグイス・鴬】
 ウグイスはスズメ目ウグイス科の鳥で、オスの体長は16㌢、メスは14㌢。スズメとほぼ同じ大きさで、翼開長はオスが21㌢。メスが18㌢。体色は背中がオリーブ褐色で、腹面は白色。オスメス同色である。
 ウグイスは全国的に分布。一部の地域では、夏に山地で過ごし、冬季に平地に移動する漂鳥であるのに対
し、移動を伴わない地域では留鳥となる。平地から高山地帯のハイマツ地帯に至るまで生息するように環境
対応能力は広い。笹の多い林下や藪を好む。さえずりの最中に開けた場所に姿を現すこともある。警戒心が
強く声が聞こえても姿が見えないことが多い。
 食性は雑食だが、夏場は主に小型の昆虫、幼虫、クモ類を捕食し、冬場は植物の種子や木の実などを食べ
る。
 繁殖期は初夏で、オスは縄張をつくり「ホーホケキョ」と1日千回ほど鳴くこともある。横穴式の壺形の
巣を作り、長径1・8㌢の光沢ある赤褐色の卵を5~6個産む。主にメスが雛を育て、オスも雛に給餌を行う。
 ウグイスのさえずりは3種類あり、早春の「ケキョ」から始まり、春が進むと「ホーホケキョ」と鳴く。2
つ目は「ホーホケキョ」に続いて「ケキョケキョケキョ……」と細かく鳴くのは、ウグイスが大声から始まって、谷を渡って小声になるようなので、ウグイスの「谷渡り」と呼ばれる。3つ目は地鳴きで「チャッチ
ャッ」とあたかも相互に静かに鳴き合っている。縄張を見張っているオスが鳴き「ホーホケキョ」が他の鳥
に対する縄張宣言であり、巣に餌を運ぶメスに対する
「縄張内に危険なし」の合図でもある。「ケキョケキョケキョ」が侵入した者や外敵への威嚇であるとされ
ており、これを合図にメスは自身の安全のためと、外敵に巣の位置を知られないようにするために餌の運搬
を中断して身をひそめる。他方この鳴き声をメスへのアピールである可能性が高いとする説もある。
 昭和38年頃、根曲がり竹藪で、偶然、横穴式の巣を発見したことがある。穴を覗くと卵が5個入ってい
た。ウグイスがやたらと騒ぎ出したので、これがウグイスの巣であることを実感した。以後、どんな雛が誕
生するのか期待しながら観察したのだった。
その後どの位いしたのか定かでないが、雛が4羽生まれ、口を顔いっぱいに広げ、餌をねだる雛の仕草が
とても可愛かった。しかし、あいにくの梅雨時だったので、竹藪に入るのが億劫になってきた。1週間ほど
して、巣を見に行ったら、既に蛻のからだった。ホトトギスがウグイスに托卵することも後で知った。不思
議な鳥の世界に魅せられた、高校時代なのであった。

津軽歳時記

 白神山地
 
 【キジ・雉】

草野 力丸 

 【アオサギ・青鷺】
 アオサギはサギ科の鳥で、全長68~98㌢、翼長オス44~48㌢、メス42~46㌢、翼開長150~170㌢、体重オス1071~2073グラム、メス1020~1785グラム。頭部は白い。額から眼上部・後頭部にかけて黒い筋模様が入る。体上面は青灰色。背に灰色の羽毛がはえる。下面は白い羽毛で被われ、胸部にかけて、破線上の黒い縦縞が入る。側胸や腹部は黒い。雨覆の色彩は灰色で、初列雨覆や風切羽上面の色彩は黒い。人間でいう手首(翼角)の周辺には二つの白い斑紋が入る。虹彩は黄色。嘴は黄色。後肢は暗褐色。若鳥は後頭に冠羽がなく、背が褐色みをおびる。繁殖期になると、嘴や後肢の色彩が赤みをおびる。メスはオスに比較すると冠羽や飾羽があまり発達しない。アオサギは河川や湖沼・湿原・干潟・水田などに生息する。昼行性だが、繁殖期には昼間だけでなく夜間に採食を行うこともある。非繁殖期には単独で生活するが、数羽が同じねぐらに集まったり、コサギなどとねぐらに混じることもある。翼を下げながら広げた姿で、日光浴を行うこともある。飛翔中や飛翔前に「グアン」「グァ」と大きな声で鳴く。しわがれた声で「グワーァ」「コアーッ」などと鳴くこともある。魚類、両生類、爬虫類、昆虫類、甲殻類などを食べ
る。鳥の雛、小型哺乳類を食べることもある。水辺で待ち伏せしたり、水辺や浅瀬を徘徊しながら獲物を探
す。小型の魚類は嘴で挟んで捕らえるが、コイなどの大型の魚類は側面から嘴で突き刺して捕らえることも
ある。また、他の鳥類に対してはかなり気が強く、トビと競合して獲物を横取りしたり、場合によっては自
分よりはるかに大きいコウノトリ餌を横から奪うこともある。
 繁殖は卵生。松林などに集団繁殖地(コロニー)を形成する。主にオスが巣材を集め、メスが営巣する。ヨ
シなどの草木の茎や枝を組み合わせた皿状の巣を樹上に作る。地域によっては低木や地上にも営巣する。3
~5個の卵を産む。同じ巣を修理し何年にもわたり使用を続ける。オスメスで育雛。抱卵期間は23~25日。雛は、う化から50~55日で巣立つ。生後2年で成熟する。
 アオサギは深浦本町中沢川、私の家の50㍍辺りの川に、一本足でじっと水面を見つめていることもある。
一体何を考えているのだろうと思うほど、長い長い沈黙が続くのである。忍耐強い鳥である。田圃辺りで見かけるのは、ほとんどがアオサギかシロサギである。少し注意して見ると、どこにでもいる鳥でもある。

津軽歳時記

 草野力丸

 

 【カイツブリ・鳰】
 カイツブリは全長25~29㌢、翼開長40~45㌢、体重130~236グラム。尾羽は短く、翼の色彩は一様に黒褐色。嘴は短かめで尖り、先端と嘴基部に淡黄色の班がある。カモガン類と異なり外観上のオスメスの差はない。夏季には、夏羽として頭部から後頸が黒褐色で、頬から側頸が赤褐色の羽毛で覆われている。体上面は暗褐色。また嘴の色彩が黒く、班が明瞭である。
幼鳥は頭部に黒や白の班が入り、嘴の色は赤い。足は体の後部の尻あたりから生えており、歩くには
非常にバランスが悪いが、足を櫂のように使って潜り泳ぐ。脚の構造もカモ類と異なり、水かきはないもの
の、趾が横に張り出すことで水をかきやすくなっている。翼の形は中腕・尖翼型で、この形のものはよく羽ばたく飛び方をする。
 カイツブリは流れの緩やかな河川、湖沼、湿原などに生息し、主に水上で生活し、ほとんど歩くことはし
ない。食性は主に動物食で、魚類、昆虫、甲殻類、貝類などを食べる。巧みに潜水して獲物を捕食する。1
回に平均15秒前後潜水し、秒速2㍍で泳ぐといわれている。
 繫殖は1年に複数回、淡水域で行い、その間縄張りを形成する。巣作りから抱卵・子育てまで、オスメス
同等に分担する。水辺近くの水生植物の葉や茎を組み合わせた逆円錐状の巣をオスメスで作り、4月~12月
にかけて1回に4~6個の卵を産む。鳴き声はキリッキリッキリリリと鋭く鳴き、繫殖期にはオスメスが鳴
き交わす。警戒時にはピッと短い声を発する。お尻を上げて潜る姿は可愛らしい。水遁の術を覚えているような仕草が面白い。十二湖や五所川原市の芦野湖などで見かけたことがある。鶴田町の富士見湖周辺にも生息していると思われる。
思いおこせば、白神山地歳時記を編纂して、カイツブリが冬には南へ移動することを初めて知った。布袋
蘭(ホテイラン)に偶然竹藪の中で出合ったことも、薄暗いブナ林の中で銀竜草(ギンリョウソウ)の写真も撮
ることができた。ギンリョウソウは腐生植物。森林の中の樹陰に生える。高さ15㌢、茎と鱗片状に白色で
半透、明緑葉は持たない。夏、白色の花を茎頂に巣生。
ユウレイソウ、スイショウランとも呼ばれる。兎の死骸などに腐生すると聞いたが定かではない。

津軽歳時記

 白神山地
 
 【キジ・雉】

草野 力丸 

 キジのオスの全長は約81㌢、メスは約58㌢。翼開長は約77㌢、体重ほほ1㌔前後である。オスは翼と尾羽を除く体色が全体的に美しい緑色をしている。頭部の羽毛は青緑色で、目の周りに赤い肉垂がある。背に褐色の斑がある濃い茶色の部分があり翼と尾羽は茶褐色である。
 キジは山地から平地の林、農耕地河川敷などの明るい草地に生息している。地上を歩き、主に草の種子芽、葉などの植物性のものを食べるが昆虫やクモなども食べる。繁殖期のオスは赤い肉垂を肥大し、縄張えかか
り争いのために赤いものに対して攻撃的になり、「ケーン」と大声で鳴き縄張りを宣言する。その際翼を広
げブルブル羽音を立てる動作が「母衣打ち(ほろうち)」と呼ばれている。メスは「チョッチョッ」と鳴く。子育てはメスだけで行う。地面を浅く掘って枯草を敷いた巣を作る。オスが縄張りを持ち、メスは複数のオスの縄張りに出入りするので乱婚の可能性が高い。非繁殖期にはオスメス別々に行動する。夜間は樹の上で寝る。飛ぶのは苦手だが、走るのは速い。時速32㌔を記録している。
 キジは畑などを歩いているのに出合うことがある。親しみやすい誠に綺麗な鳥である。俳人はおそらく誰もが観ている鳥に違いあるまい。姿良し、器量良しからか、1947年、日本鳥学会で国鳥に選定されている。
「雉も鳴かずば打たれまい」は、無用のことを言わなければ禍いを招かないですむこととの諺がある。青森
市の新谷ひろしは
「われはいま近道行かん雉子翔べり」
と詠んでいる。

 

 

津軽歳時記

 草野力丸

 津軽歳時記
 白神山地
 草野 力丸
 【オオタカ・大鷹】
 オオタカのオスの全長は約60㌢、メスの全長は70㌢、翼開長約100~130㌢、頭から背、尾、翼の上面は灰黒色。腹は白色で細い横斑がある。飛んだ時の翼は短がめで、先端には丸みがあり、尾はやや長め、はばたきとグラィデングを交互に行って、直線的に飛行
する。大きさとしてはトビよりひとまわり小さくカラスと同程度。尾羽が長いのが特微。小さめの体は森の中で木々や茂みの間を飛行する際に有利であるほか、長い尾羽は空中でのブレキーや方向転換に役立つからである。オオタカは平地から山岳地帯に生息。飛翔能
力が高く、中小型の鳥類ハト、カモ類、や小型の哺乳類ネズミ、ウサギ、オコジョ、マムシなどの蛇類を空中あるいは地上で捕らえる山里の猛禽類を捕食する。
食物連鎖の頂点に位置するため、生態系の自然が健全でないと生息が困難であったが、都市に多いドバトを主食することで、現在では都市部にも進出している。
飛ぶ速さは、水平飛行時で時速130㌔に逹する。一度狙いをつけた獲物は埶拗に追い続ける。一日に一
度の狩で食を満たすことがでる。オオタカの名は大きいからではなく、羽の色が青みがかった鷹を意
味する「蒼鷹」に由来するとう。

【ノスリ】
 全長50㌢~60㌢。翼開長100~140㌢。オスよりメスが大型。背面は褐色、腹面は淡褐色の羽毛に覆わ
れ、喉の羽毛は黒い。平地から山地の森林に生息する。単独もしくはペアで生活する。食性は動物食。繫殖期には縄張りを形成する。樹上や断崖の上に木の枝を組
み合わせ巣を作る。狩の際の挙動は「停飛から急降下と樹上から急降下してぶ匋匐飛行が見られる」野を擦るような地表すれすれを飛行することから「ノスリ」と呼ばれるようになった。
 白神山地にはミサゴ、ハチクマ、トビ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、クマタカ、イヌワシなどのタカ科の鳥の生息が確認されている。

津軽歳時記

 白神山地

【クマタカ・熊鷹】

 草野力丸 


 クマタカの全長はオスが約72㌢、メスが80㌢。翼を広げた大きさは140~165㌢。日本に生息するタ

カ類の中で最も大きい。オス、メスともに同色、成鳥は頭から頭頂、顔が黒褐色で後頭の羽毛は少し長く冠羽状になる。背から上面は褐色。喉から胸はバラ色で喉の中央に黒褐色の縦斑がある。腹と脇から体下面は褐色と淡色の太い横斑がある。風切には5~7本の黒褐色の横帯があり、尾にも太い横帯が4~5本ある。尾は長めで幅が広い。虹彩は橙色。飛翔中に下から見ると翼と尾にある横斑が明瞭。飛翔時、翼は短いが幅は広く、翼後縁は丸みがある。繁殖期以外はほとんど鳴かない。鳴き声は「ピッピッピッ、ピエー」である。

クマタカは500~1,500㍍の山地の森林に留鳥として棲む。一年中同地域に生息するが、冬期には低山帯に漂行するものもある。上空をゆっくり帆翔しながら地上を探り、獲物を見つけると翼をすぼめ、急降下して襲う。逃げ足の速い動物を襲うときには、地上近く

をはばたき滑翔を交えて翔び追撃する。獲物はムササビ、ノウサギなどの中型哺乳類、ヘビ類、キジ、キジバト、ヒヨドリなどの中型以上の鳥類が多い。森林の

高い樹枝に、小枝を積み重ね巨大な巣をつくる。卵は約7~8㌢。卵は灰褐色。抱卵は約50日という。

 私は十二湖の日本キャニオンを旋回している大きなタカを見たことがある。あれはまさしくクマタカだったと思う。獲物を探し回っていたに違いない。白神山

地にはミサゴ、ハチクマ、トビ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、ノスリ、イヌワシなどのタカ科の鳥が生息していることが確認されている。しかし、これらの鳥は近くで見ることができないので、図鑑などを見て知る以外に方法はない。

 

 

津軽歳時記

 草野力丸

 【オシドリ・鴛鴦】
 オシドリのオスの全長は48㌢、メスは41㌢、オ
スの翼長は21~24㌢、メスは21~23㌢、翼間張が68~74㌢、オスの体重は0・6㎏、メスは0・5㎏である。オスの嘴は赤く、繫殖期には後頭、頬から頸部にかけて羽毛が生え、顔の羽衣が白や淡黄色。胸部の羽衣は紫で、頸部側面には白い筋模様が左右に2本入る。胸部の羽衣や尾羽基部の下面を被う羽毛は白い。風切羽は銀杏状で橙色である。メスは嘴が灰黒色。非繫殖期のオスやメスは全身の羽衣が灰褐色、眼の周囲から後頭にかけて白い筋模様が入る。また体側面に白い斑紋が入る。足は橙色で水かきがある。食性は植物食傾向が強い雑食で、水生植物、果実、種子、昆虫、陸棲の貝類などを食べる。陸上でも水面でも採食をお
こなう。抱卵はメスのみがおこなう。育雛も夫婦で協力することはない。オシドリは渓流、湖沼などに生息する。水辺の木陰を好み、開けた水面にはあまり出てこない。日本では北海道や本州中部以北で繫殖し冬期になると本州以南へ南下し越冬する。漂鳥であるが国外から渡ってくることもある。
 十二湖の王池、日暮しの池、鶏頭場の池などつがいで仲良く泳いているさまは見事というほかはない。特にオスの配色は素晴らしい。この世にこんな綺麗な鳥
を近で見られることに幸せを覚える。聞くところでは広戸地区の小さな溜池にもオシドリがきているという。仲の良い夫婦を「オシドリ夫婦」と呼ぶが、実は鳥類のオシドリは、冬ごとに毎年パートナーを替えることが判明されという。オシドリのオスは着飾って立派な姿をしているが、案外勝って気儘な鳥なのかも知れない。

津軽歳時記

 白神山地
 【ムササビ・鼯鼠】

 

草野力丸 

 ムササビの頭胴長は27~49㌢、体重700~1,500gである。長い前足と後足との間に飛膜と呼ばれる膜があり、飛膜を広げることでグライダーのように滑空でき、樹から樹へと飛び移ることができる。手首には針状の軟骨があり、滑空時に外側に張り出すことで、飛膜の面積を増やすことができる。長いふさふさした尾は、滑空時に舵の役割を果たす。ムササビは山地や平地の森林に生息する。特に、巣になる樹洞があり、滑空に利用できる高木の多い森を好む。夜行性。完全な樹上生活で冬眠はしない。最大120㍍以上の滑空が可能で、速度は最大秒速16㍍にもなる。ケヤキやカエデの若葉、種子、ドングリ、カキの果実、ツバキの花、樹皮など、季節に応じたさまざまな樹上食物を食べる。

地上での採食はしない。天敵はテン、イタチ、キツネなどの食肉目に属する動物のほかフクロウやタカなどの猛禽類である。

 ムササビは、ふるくから狩猟の対象であったという。

縄文遺跡では、青森市の三内丸山遺跡において、シカ、イノシシを上回るムササビが出土しているという。

 私は昭和24年、長慶平開拓地に入植したが、そこは鬱蒼と茂るブナの原生林であった。直径1~2㍍級の大樹が立ち並び、昼間でも薄暗かった。夜になるとムササビ(当時はバンドリと呼んでいた)の滑空が始まるのであった。飛膜を広げ、風を切って滑空するバンドリの姿は、実に恰好良かった。当時は石を並べた上にドラム缶置いた露天風呂であった。星を仰ぎ、月を眺め、バンドリの滑空を見ながら入浴したことが懐かしい。

 

津軽歳時記

 草野力丸

 白神山地

 【アカショウビン・赤翡翠】

 アカショウビンは体長約27㌢、翼開長約40㌢、ヒヨドリとほぼ同じくらいの大きさである。体の上面の羽毛が赤褐色で、体の下面は橙褐色。腰は水色で、飛んだ時にはこの水色がよく目立つ。くちばしと足は赤く、目は黒い。オスメスほぼ同色である。大きな赤いくちばしは柔らかい。アカショウビンは森林に生息するのが特徴で、カワセミとは異なり、水辺から離れた森林でもみられる。単独または、つがいで生活する。ホバリングはせず、もっぱら石や木の枝の上から獲物を狙う。食性は動物食。渓流や湖に飛び込んで、魚や

カエル、ザリガニ、水生昆虫などを捕らえるが、地面のカタツムリ、トカゲや木の幹のキリギリス、セミ、バッタを横から襲うこともある。カワセミと同じよう

に捕獲後は再び石や枝に戻って、獲物をくわえ直し、頭から呑み込む。動きの大きなものなどは足場に数回叩きつけて弱らせてから呑み込む。繁殖は卵生。巣穴は崖やキツツキの古巣に営巣する。5月

頃飛来し、産卵期は6・7月、5個ほどの卵を産む。

アカショウビンの飛来地は、世界自然遺産白神山地の西側、深浦町の十二湖である。十二湖は1704年、能代大地震による崩山(くずれやま 標高939㍍)の崩山崩壊で塞き止められた川から形成されたと推定され、この崩山から眺めると33の湖沼のうち、12の湖沼が見えたことから十二湖と呼ばれるようになったといわれている。アカショウビンは主として長池(面積9平方

㍍、深度7㍍、平均深度2㍍)に飛来。全国からカメラマンが殺到するアカショウビンスポットでもある、鶏頭場の池で撮影したと岩村多加雄さん話していた。もっと別の池にも生息しているのかも知れない。

私は思い描いている木の枝に、アカショウビンが止まるのを、じっと待ち続け止まったと同時に、シャッターを切る忍耐強い行動にはついていけない。しかし、アカショウビンは実に絵になる鳥である。

津軽歳時記

 草野力丸

  


 白神山地

 【ヤマセミ・山翡翠】

 ヤマセミは体長約38㌢、翼開長約67㌢でカワセミの倍、ハトほどの大きさである。ヤマセミはカワセミ科の鳥では最大である。体の背中側が白黒の細かいまだら模様、腹側は白いが、あごと胸にまだら模様の帯が走っている。オスはあごと胸にうすい褐色が混じっ

ている。ヤマセミは山の渓流や池の周囲に生息、冬は平地の河川や海岸にもやってくる。単独またはつがいで生活する。食性は動物食。特に魚が大好きで、ヤマメ、イワナなどの清流の魚を狙う。捕食する時は、水辺の石や木の枝から水中に飛び込んで獲物を捕らえる。

「キャラキャラ」と鋭い声で鳴く。切り立った崖に横穴を掘って巣をつくる。

 私は吾妻川の上流東股沢の5㌔地点でヤマセミの捕食する場面に出合ったことがある。川に跨る樺の木の枝からダイビングしてヤマメを捕らえ、木に叩きつけて頭から飲み込んでいたのだった。その動きの速さに感動した。白と黒の鹿の子斑、頭の冠羽が勝どきをあ

げていたように記憶している。

【カワガラス・川鴉】

 体長約22㌢、翼開長約31㌢、体の大きさに較べ翼が極端に短い。体がずんぐりして、全身黒褐色、尾

は短い。渓流に生息し、滝の裏側などの隙間や橋下の隙間、堰の水抜きなどにミズゴケを使用して巣をつくる。「ヴィッ」「ビィッ」と太い声で鳴く。腰を上下に

振りながら、石の上を移動する。昆虫類や小魚を捕食する。握力が強く、水底を歩いて餌を探すことができる。

吾妻川や追良瀬川、赤石川で見掛けたことがある。

動きが速い。水浴びをしているように見えるが、餌を漁っているのである。人が見ていても、関係ないようにゆうゆうと行動している。

津軽歳時記

 白神山地
 【カワセミ(翡翠)】

草野力丸


 カワセミは全長約17cm。嘴は比較的長く魚捕りに適している。耳と喉が白く、腹は明るい褐色、足は赤い。幼鳥はやや褪せた黒っぽい色をしている。巣は土崖に横穴を掘っている。渓流や池沼などに生息。縄張り意識が強く、同じ場所で、同じ個体がいることが多い。瞬膜をもち、水中ダイビングの際に目が覆われる。渓流や湖沼から見下す木の枝などに止まって、獲物の動きをみて、素早くダイビングの行動を行うと共に、水面を一直線に飛んだりする。羽色が鮮やかで、翡翠(ひすい)のような体色から、飛ぶ宝石といわれ、その美しさは、古代から注目されてきた。カワセミは光の具合で色の変わるエメラルドグリーンが美しい。頭から尾にかけて背面が鮮やかな青緑色をしている。この色は色素によるものではなく、構造色といわれるもので、羽毛の表面の細かな構造に光が当たる際に複
雑に反射することで人間の目に様々な青を見せている。
 私は昭和24年に深浦町の長慶平開拓に入植したが、今よりもっともっと吾妻川の渓流は澄んでいて綺麗な川であった。当時は歩くしか交通手段がなかったので、いろんなものが目に入った。カワセミもその一つ、川にせりでた木の枝に止まり、ヤマメを見つけ、一気に
ダイビング、元の位置に止まると、口に咥えたヤマメを木に叩き付け、同じ動作を繰り返し行い、頃合いを見て頭から飲み込んだのだった。余りにも綺麗な鳥なので、見惚れていたが、生きるための残虐な場面に遭遇し、弱肉強食の世界に生きていることを実感したのであった。追良瀬川、鰺ヶ沢町の赤石川でも川釣りをしていて見かけたことがある。とにかく綺麗な鳥だ。あの色の美しさは、格別以外のなにものでもない。

津軽歳時記

 

  

白神山地 

 【釣りざんまい】 

 吾妻川は深浦町から約2㌔の地点で南股沢と東股沢 に分かれ、概ね12㌔を流れ日本海に注いでいる。私は 昭和23年樺太の真岡から白竜丸に乗り、函館に着き、 庄内平野の真ん中(鶴岡市と酒田市中ほど)の余目町に 引揚げ、24年に深浦町の長慶平開拓地に入植した。この 

開拓地に行くには東股沢に沿った凸凹道があるのみだ った。川を覗くと、帯状にうねりながら、鮎の大群が 泳いでいた。鮎の友釣り(鮎の掛釣の一種。鮎掛鉤をつけた糸に生きた 鮎を囮としてつないで水中に放し、攻 撃に来た他の鮎を鉤にかけて釣る)風景がしばらく続い 

たが、今はまったくその影すら見えない。私は35年頃からこの東股沢を我が家の庭のように、釣ざんまいをしていた。下流3㌔あたりからヤマメが釣れ出し、その 上流からはイワナが釣れ始めしばらくの間ヤマメとイワナが入り混じって釣れた。カコベ(魚籠)に15㌢~20 

㌢前後のヤマメ・イワナを半分ないし、3分の1釣れれば御の字である。40年頃と思うが、6㌔地点の津軽平地区当たりから旭ケ丘地区へかけての支流があり、この細い小さな川に、ヤマメの群れに出合った。およそ百匹越えのヤマメの大群は実に壮観だった。そして岸辺の奥に身を隠していたサクラマスを発見したのである。静かに手を差し入れ、サクラマスの尾鰭に近付けても、平然と泳いでいた。尾鰭の少し上の部分を素早く掴んで砂場に打ち上げた。サクラマスは既に産卵を終えて、息絶え絶えの状 

態だったのだった。サクラマスはヤマメの雌が海に下り、成長して産卵のために川に遡上するという。そう言われてみれば、なるほどと思う。釣り上げたヤマメは、全部雄だったからである。イワナは時々雌もいたように思う。 

30年も前の話であるが、良き、楽しい時代だったとつくづく思う。今は西田敏行と三國連太郎コンビの「釣りバカ日誌」を楽しんでいる。 

津軽歳時記

 

 白神山地

 【ウグイ(アカウオ)】

 赤石川は白神山地を代表する川の一つで、秋田県との県境二ツ森付近に源流がある。摩須山岳の北方滝川と合流し、世界遺産の核心部を北に向かって流れ、鰺ヶ沢町の赤石地区で日本海に流れ込む。その流路延長は実に45㌔に達する。

 ウグイの体長は最大50cmに達するが、30cmの前後の個体が多い。体色は全体こげ茶色を帯びた銀色で、体側に一本の黒い横帯が走る。腹部は黄色味を帯びる。

腹鰭、尻鰭、と尾鰭後端部は黄色味を帯びる。春になるとメス、オスともに鮮やかな三本の朱色の条線をもつ独特の婚姻色に変わる。「アカウオ」「サクラウグイ」

と呼ばれているが、津軽では「アカハラ」という。

 ウグイは淡水棲で、河川の上流から下流に幅広く生息している。群を組んで泳ぎ回る習性がある。食性は雑食性、水生昆虫、ミミズや残飯などなんでも食べる。

 昭和37年5月頃だと思うが、友達と赤石川に向かった。川幅が広く、青々とした瀞も数多くあったが、釣れなかった。川尻のところまで来ると、子供たちが40~50㌢の見事なアカハラを手にしていた。小指ほどの太さの根切り虫を子供たちからもらったところ、直

ぐに釣り上げた。海から遡上した、あのウグイのウヨウヨと群れを成す光景は今でも脳裏に焼き付いている。 

 赤石川は7月、アユの解禁になると大勢の釣人で賑わう。釣り場の核心部は、熊の湯温泉よりも下流の種里地区、鬼袋地区で、瀬と瀞が連続するあたりである。

赤石川のアユは体色が金色を帯びていることから、「金アユ」と呼ばれ、大きさ、味のよさに定評がある。

 鰺ヶ沢俳句大会の際、赤石川の土手に炭火をおこし、アユの串焼きを行ったことがあった。あの塩焼きの味は決して忘れることはできない。

津軽歳時記

 白神山地

白神山地 

 【アメマス(雨鱒)】 

 追良瀬は白神山地を代表する川の一つで、源流域は 世界遺産に登録されている核心地域にあり、青森県秋 田県の県境になっている稜線付近にある。山間部に狭谷をつくって流れ、稜線一帯はチシマザサが生茂っていて見通しはまったくきかない。追良瀬川は、数えき れないほどの支流から形成されている。この支流の水 を集めて日本海(深浦)に注いでいる。その流路延長は 実に33・7㌔に達する二級河川である。 

 アメマスの体長は14~70㌢程度である。産卵期か ら孵化までの生活はイワナとほぼ同じであるが、より 冷水域を好むとされている。サクラマスやサツキマス のように、孵化後すぐ降海せず2年から3年程度河川で過ごし、メスのほとんどが降海するが、残留して産卵するものもいる。降海したメスたちは海で逞しく成長し、河川に遡上する。 36年5月頃、雨が降り続いて、川は泥水で濁っていた。通称「オヤマ」の集落から1㌔ほど下流のカーブの切れ目あたりで釣糸が流れなくなった。木の根っこにでも引っかかったと思い、恐る恐る引いたところ、動くではないか。静かに息を殺して引き寄せる。想像を絶するアメマスの強烈な引きに驚愕してしまう。テングスが切れれば第一貫の終りでる。幸いにしてこちらの川岸が砂地であったので、どうにか仕留めることができた。50㌢超えの丸々と太ったアメマスだった。 銀色に輝く美しい魚体とその側面に並ぶ美しい白斑点の美貌は人の心を魅了する。魚と人間の知恵比べ、なにもかも忘れて真剣勝負を試みる醍醐味は忘れることができない。追良瀬川には、サケ、マス、サクラマス、アユなどが棲んでいるが、現在はアユ以外の魚は禁漁となっている。 


 草野 力丸

 【イワナ(岩魚)】

 イワナは白神岳と向白神岳に端を発し、その間を流れ日本海に達する13・7㎞の笹内川(深浦町)に多く生息している。イワナは体長18~22㌢を超えるとオス・メス共に成熟し、数年にわたって繁殖行動をおこなう。

体色は褐色から灰色。体には背部から側面にかけて、多数の白い斑点が散らばる。夏でも水温摂取15度以下を好む。貪欲な肉食性で、動物性プランクトン、水生昆虫、ザリガニ、カエル、サンショウウオ、時にはヘビなども食べる。樹上から落下したものは何でも食

いつく習性がある。ほとんどが一生を淡水で過ごす。

河川の最上流の冷水域がイワナ、上流のある地点を境に、それより下流がヤマメとなる。イワナは上品な白身魚であるが、やや癖のある野趣の香のする塩焼きが最適であろう。焼き干しもだしに使う乙な味である。

 私の趣味は釣り、カメラ、俳句の順になる。性格的に一度はまれば熱中するタイプなのである。昭和30~40年にかけて毎日のように釣りを楽しんでいた。38年頃だと思うが、巨大なイワナを笹内川の上流で釣ったことがある。いずれも60㌢超えの3匹であった。

行き交う人は皆驚き「こんな魚どこで」と聞いたが、

とぼけて笹内川上流としか言わなかった。それ以後、何回も同じ場所に心ワクワクさせながら、釣糸を流したが、釣れなかつた。ガックリしながら戻ったこと数しれない。
32年頃、笹内川へ流れる通称二瀬沼と呼ばれた沼があった。秋も深まる頃になるとイワナに似た魚が砂場に集まり産卵していた。40~50㌢の大きな魚であった。沼の下流には断崖絶壁があり、どうして棲みついたのか不思議でならない。

【モリアオガエル】
無尾目。アカガエル科。体は42~82mmほどだが、メスの方が大きい。オスは咽頭嚢を持ち、これを膨らませて鳴く。指先には吸盤があり、木の上での生活に適応している。第3指が長く、指の間には水かきがある。体色は個体差が大きく、全身が緑色のものもあれば、全身褐色に斑点の個体もある。

繁殖期以外は主に森林に生息するが、4月~7月は、生息地付近の水田、湿地に集まる。成体は肉食性で、昆虫類やクモ類を捕食する。天敵はヘビ、イタチ、アナグマ、タヌキなどである。産卵は水面上にせり出した木の枝、草の上に粘液を泡立てて作る。泡で包まれ

た卵塊を産みつける。繁殖期になるとオスが産卵場所に集まり、鳴きながらメスを待つ。メスが産卵場所にやって来ると、オスが背中にしがみつき産卵行動が始まるが、卵塊の形成が進むにつれて1匹のメスに数匹のオスが群がる場合もある。

 昭和36年から私は広報ふかうらを7年間担当した。当時はカメラ凝って、深浦の植物「花の写真集」を出版するのを夢みていた。毎朝通勤前に行合崎海岸へカメラを手にしていた。ここには百種類ほどの草花が生育していると言われていた。連休のある日、十二湖へ出かけた。国道から山手に300㍍ほど入った右手に小さい池があり、湿地帯となっていた。そこで毛氈苔を発見した。毛氈苔は背の低い草で、茎は短く、葉を放射状に出す。葉は円形で一面長い毛あり、その先端から甘い香りをする粘液を出す。これにつられて虫がくっつくと粘毛と葉が包むようにしぼみ虫を消化吸収すると言う。シャッターをいろんな角度から切った。その奥の池にたれた木の枝に白い泡状のものを発見した。咄嗟にモリアオガエルだと確信した。雨が降り続いた

3日後にとくなが持参で駆けつけると蛻の殻であった。


 草野 力丸

 【トノサマガエル】
無尾目。アカガエル科。雄の体長は38~81mm、雌の体長は63~94mm。雄より雌の方が大きい。後肢が長く、飛躍が強い。雄の背面の皮膚は比較的滑らか、体色は茶褐色、雌は白色である。背中線上に明瞭な白または黄色の線が入り、背面に黒
の斑点が入る。平野部から低山地にかけて、池の水辺付近に生息する。春から秋にかけて活動し、冬は冬眠する。肉食性で昆虫類のクモなどを食べるが、貧欲で口に入る大きさであれば、小型のカル、ヘビなども捕食する。天敵はヘビ、カメ、サギ、モズなどである。動作は敏捷で、人間が道具なしで捕獲するのは難しい。
なわばり意識が強くしばしば共食いすることもある。
繁殖期(4~6月)になると雄は水田などに集まり、夜間、両頬にある声嚢をふくらませ、大きな声で鳴く。この鳴き声は雌を誘うと同時に、なわばり宣言の意味のあ
るという。
思えば、本町の外れ中沢地区に、田んぼをつぶして宅地に造成した所の一角に家を新築、開拓地から移り住んだのが昭和45年であった。夕方から夜にかけてカエルの大合唱が始まる。どんなカエルが鳴いているのか、その正体を捕まえようと田んぼにゆくとぴたり
と鳴き止んでしまう。歩を進めると、鳴き止んでいたカエルがすぐ復活。カエルにからかわれている自分に腹が立ったものだ。幼いころ、「解剖、解剖」と叫ん
でお尻に草の茎を差し込んで、空気を入れ、水に浮かばせたりして遊んだシッペカエシなのかも知れない。
カエルのデート場所が田んぼ、あまり詮索するほどのものではない。しかし、あんなに賑やかに鳴いていたカエルの声がほとんど聞こえなくなった昨今である。